クレーンが入らない現場では
先日の現場の模様です。新築したお宅のお庭の倒れた自然石を加工した燈籠を据え直してきました。
北道路の敷地で南側のお庭への進入路は狭く、既存の車庫や水道などでクレーンが入りませんでしたので昔ながらの技法で「二又」(”ふたまた”、あるいは”にまた”)と 言われる吊り上げ機構を組んで作業しました。
こういう場合、多くの石材店では三脚を使用していると思いますが私たちはこの「二又」を利用します。
メインの柱が二本なので三脚よりも不安定に思えるかもしれませんが、控え綱が柱と直行方向に、二箇所取ってありますので三脚と同じく三点支持がなされているのです。しかも頂点のふり幅がかなりあるので、人間は少しの力で操れます。
いつの時代から使われているものかは分かりませんが、ふり幅を持って吊り上げられることは非常に便利です。
松の向こう側に見える逆V字の柱が本体で、写真の右側から伸びでいるロープと反対側へ伸びでいるロープで操ります。
二又の先にはチェーンブロックを吊り下げて燈籠の笠石をクランプという挟んで掴む道具で吊り上げます。
こちらは控え綱の写真でオレンジの箱状の道具でワイヤーを出し入れして二又の角度を調整し、吊り下ろす箇所まで二又の頂点をコントロールする部分です。
こちらは私の祖父が現役の頃の二又を使った工事の様子です。右側で腰に手を当てているのが若き日の祖父、正止[マサシ]です。今の私と同じくらいの年齢かな?
この前の私と同じように一生懸命チェーンブロックの鎖を引っ張って吊り上げています。
ちなみに、このお石塔はいまでも立派に建っています。