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幼女殺人について思うこと

ここのところ幼い児童が被害にあう事件が多発しています。
昨年の事件ですがこのほど判決が出たとの報道がありました。

昼休みに新聞を一通りチェックする私はこの記事には心を締め付けられる思いでした。

亡くなった児童のご両親からの手記も掲載されていました。

以下全文です。

女児殺害で無期懲役 地裁高崎支部判決

 高崎市内の県営住宅で昨年、小学一年の浜名愛ちゃん=当時(7)=が殺害された事件で、殺人などの罪に問われた同市北久保町、会社員、野木巨之(のりゆき)被告(28)の判決公判が九日、前橋地裁高崎支部であった。大島哲雄裁判長は「人間性をかなぐり捨てた欲望のおもむくままの動機に酌量の余地はない」などとして、野木被告に求刑通り無期懲役を言い渡した。

 判決理由で大島裁判長は検察側の起訴事実を認定した上で、「計画的で卑劣な犯行。極めて冷酷かつ残虐」と断じ、「地域社会のみならず社会一般に与えた衝撃や、同世代の女児を持つ親に与えた不安は深刻」と事件の影響の大きさを指摘した。

 さらに「被告人の人格のゆがみは甚だしく矯正は著しく困難」とし、再犯の可能性についても言及した。

 判決を受けて、愛ちゃんの父親、朗あきらさん(39)と母親、祐子さん(38)は書面でコメントを発表し、「死刑になったとしても娘は二度と帰ってきません。無期懲役の場合、いつかは刑務所を出て自由の身となります。将来ある幼い娘を無残に殺された親として、到底受け入れられません」とあらためて憤りをあらわにした。

 野木被告の弁護人は近日中に控訴の意思があるかを確認するという。

 判決などによると、野木被告は昨年三月十一日午後二時四十分ころ、県営住宅十階の自宅前で待ち伏せし、下校途中だった愛ちゃんを無理やり自宅に連れ込み、大声を出されたため、手やタオルで首を絞めて窒息死させた。

◎遺族の痛み癒えず

 「どうしてそんな顔でいられるの」。前橋地裁高崎支部で九日開かれた浜名愛ちゃん=当時(7)=殺害事件の判決公判。遺族と目線を合わせず、頭を下げることもなく退廷しようとする野木巨之(のりゆき)被告(28)に対し、愛ちゃんの母、祐子さん(38)は抑えきれなくなった感情をぶつけた。

 愛ちゃんの両親ら遺族六人が傍聴席から見守る中、頭を短く刈り上げた野木被告は紺のトレーナーに灰色ズボン姿で入廷。落ち着いた様子で公判開始を待った。

 「被告人を無期懲役に処する」。野木被告は、大島哲雄裁判長の判決言い渡しを正面を見据えて直立不動で聞いたが、判決理由の朗読が始まると徐々に目線を落とした。

 祐子さんは夫の朗(あきら)さん(39)と並んで野木被告の背中に厳しい視線を注いでいたが、朗読内容が犯行の場面に差しかかると肩を震わせて、ハンカチで目を押さえた。

 閉廷後、無表情のまま遺族と目を合わせようとせずに退廷する野木被告に対し、遺族は怒りを爆発させた。「どうしてそんな顔でいられるの、人ごとみたいに」と、祐子さんは立ち上がって声を絞り出すように叫んだ。

 報道陣らが退室し静まり返った法廷には、泣きじゃくる遺族の声が響いた。祐子さんは、その場に崩れ落ち、他の遺族に抱きかかえられるように法廷を後にした。

 公判後、遺族側の弁護士は「両親は冷静にこの日を迎えようとしていたが、野木被告の無表情な様子に、怒りが込み上げてきたようだ。これまでの公判では目線は合わせなかったが、頭は下げていた。遺族は精神的な痛みを感じ続けている」と遺族の思いを代弁した。

◎浜名愛ちゃんの両親コメント

 高崎市の女児殺害事件の前橋地裁高崎支部判決を受け、被害者の浜名愛ちゃん=当時(7)=の両親は次のようなコメントを発表した。

       
 仮に野木(巨之被告)が死刑になったとしても娘は二度と帰ってきません。私たちが納得できる判決などありません。

 無期懲役ならば、いつか野木(被告)は刑務所を出て自由な身となります。将来ある幼い娘を無残に殺された親として、そのようなことは到底受け入れられません。罪もない幼い命をもてあそんだ殺人犯については、最低でも終身刑に処し、生涯を刑務所で償わせるのが当然だと思います。

 欧米と比べて日本は、このような殺人事件での量刑が甘すぎるのではないでしょうか。類似犯罪の抑止という観点からももっと厳しくすべきだと思います。

 野木(被告)の周辺では、事件の前から子供が手を引っ張られたり、追い掛けられたりするような予兆となる事件が何度も起きていたそうです。

 そうした段階での情報を警察と地域社会が共有できるようにし、地域内に危険な人物がいることを知らせ、地域全体で監視の目を光らせたり、登下校時などに子供を一人にしないよう工夫をして子供を守っていく必要があります。

 私どものような悲惨な事件が繰り返されないよう、本気で対策に取り組むべきだと思います。

 愛は本当にかわいい女の子でした。夫婦の間で「こんなにかわいらしい子供を産んだのだから感謝してね」などと会話が出るくらいいとおしく、目に入れても痛くないほどにかわいい娘でした。

 そんなまな娘が突然、無残に殺されました。そのショックは言い表すことができません。私たちの生活はまったく変わってしまいました。

 子供のいる家庭の楽しみである運動会や遠足などの行事があったり、誕生日やクリスマスなどを迎えるたびに、そこに娘がいないことの悲しさを何十倍、何百倍の重さで感じなければなりません。本当につらくて、胸が押しつぶされそうになり、呼吸ができなくなってしまうこともあります。

 もうじきクリスマスが来ますが、クリスマスや誕生日には愛が得意なピアノを聞かせてくれていましたので、愛がピアノを弾く姿や音色を思い出すと、胸が締め付けられます。

 日常生活でも、愛のことを忘れることはありません。買い物先でかわいい服を見つけたりすると、「これを愛に着せてあげたら・・・」と思い、涙が止まらなくなってしまいます。愛の使っていた机は触ることができません。愛が楽しそうな表情をした写真を見れば、つらくて眠れなくなります。

 悲しみが何度も何度も繰り返し襲ってきて、心も体もボロボロになりました。家族の団らんもなくなってしまいました。私たちの時間は、愛を失った悲しみの中で止まってしまいました。

 何を言っても無意味なことでしょうが、私たちは絶対に許さないことを(野木被告に)伝えたいです。

 (文字遣いを含めほぼ原文通りに掲載しました)

◎小1女児殺害事件判決要旨

 前橋地裁高崎支部が九日、高崎の女児殺害事件の野木巨広(のりゆき)被告に言い渡した判決の要旨は次の通り。

   (呼称、敬称略)
 【罪となるべき事実】
 被告人は一九九九年八月上旬ごろの午前一時すぎごろ、高崎市下豊岡町の民家でスクール水着一着(時価約千円)を窃取した。二〇〇三年三月十一日午後二時四十分ご?ろ、高崎市北久保町の県営住宅十階のエレベーター前で小学校から帰宅してくる少女を待ち伏せ?し
、エレベーターから出てきた浜名愛(当時七歳)を無理やり自宅に連れ込み、大声を出されたため、手やタオルで首を絞めて窒息死させた。

 【量刑の理由】
 被告人は、職場や自宅内のストレスを発散するために犯行を敢行したもので、人間性をかなぐり捨てた欲望の赴くままの自己中心的かつ短絡的な動機には全く酌量の余地はない。強固な殺意をもって殺害しており、犯行時、自宅の外で被害女児を捜す声を聞いたにもかかわらず、これを意に介することなく犯行を継続しており、計画的で卑劣な犯行であるばかりか、他人の生命に対する尊厳、幼い命に対する慈しみの念を欠く、極めて冷酷かつ残虐な犯行である。

 さらに、遺体をゴミ袋で覆って押し入れ内に隠匿し、いつもと変わらぬ様子で出勤するなどしており、死者に対する畏敬(いけい)の念をいささかも感じ取ることができない。

 被害女児は県営住宅の被告人方とエレベーターを挟んだ隣に居住したものであるが、下校途中、母が待つ自宅にまさに帰り着こうとした矢先に被告人に襲われ、事態を理解する間もなく苦悶(くもん)のうちに命を絶たれたもので、その恐怖、苦痛は筆舌に尽くし難い。

 最愛の娘の命を奪われた両親が受けた衝撃の大きさ、喪失感、絶望感の深さは計り知れないことはいうまでもないが、被害女児の母は、自宅と目と鼻の先で娘を犯行の被害に遭わせてしまい、助けることができなかったと強い自責の念にから?れ、今なお二重の苦しみにうちひしがれ、また、家族のその後の日常にも深刻な影響を及ぼしており、当公判廷で意見陳述した両親が共に、癒えることのない悲しみと怒りを訴え、被告人に極刑を求めているのも当然のことといわなければならない。

 さらに、犯行が同じ県営住宅の住民をはじめとする地域社会のみならず社会一般に与えた衝撃やさまざまな影響、とりわけ、同年代の女児を子に持つ親に与えた不安は深刻である。

 以上に加えて、被告人は犯行発覚時から当公判廷におけるまで、自ら犯した犯行の重大性、被害女児およびその遺族らの心情に思いを致すことなく、遺族の心情を踏みにじるような言動にまで及んでいるのであって、犯行と真摯(しんし)に向き合い、十分に反省しているとは認め難い。

 犯行は被告人の人格に極めて深く根ざしたものと認められ、これを矯正するには著しい困難が伴うというべきであって、再犯の恐れも否定し難?い。

 以上の諸事情に照らすと、被告人の刑事責任は極めて重大というほかなく、被告人のために斟酌(しんしゃく)すべき事情を最大限に考慮して?も、有期の懲役刑をもって処断することが相当とはいえず、従って、被告人を無期懲役に処し、終生、反省悔悟の日々を送りつつ被害者の冥福を祈り、人の生命および人格の尊厳に思いを致すべきことをもってその罪を償わせるのが相当である。

 識者談話

矯正教育が必要
 板倉宏(いたくら・ひろし)・日本大法科大学院教授の話 量刑的には妥当だが、性犯罪者の場合は再犯の恐れが強く、刑期中のしっかりした矯正プログラムと、安易に仮出所をさせないようにすることが大切だ。最近は各地で女児殺害が相次いでおり、同種事件については厳罰化の方向になっていくのではないか。

居住情報開示を
 防犯活動に努める前橋市のNPO法人「飛組(ひぐみ)」・熊倉繁副理事長の話 凶悪な性犯罪者がいずれ社会復帰するのは住民には脅威だ。再犯防止に最も有効なのは、性犯罪者の居住情報などの開示。同種の被害を防ぐために、終身刑の導入も含め、あらゆる方法を社会全体で真剣に考えなければならない。