「お正月にお墓参り、してもいいんでしょうか?」――そんなご質問、よくいただきます
年末年始になると、私たち長沼石材店に「新年のお墓参りはいつがいいですか?」「正月に墓参りしてもいいんでしょうか?」といったご質問をいただきます。
初詣に行った後、そのままご先祖さまにもご挨拶したい。一年の始まりだからこそ、お墓をきれいにして感謝を伝えたい。でも、「正月の墓参りは縁起が悪い」という話も聞いたことがあって、どうしたらいいか迷っている――そんな温かくも複雑な想いが、お電話の向こうから伝わってきます。
高崎市や前橋市、榛東村、吉岡町、渋川市、安中市、富岡市といった群馬県北中西毛地域では、「年の始めはお墓参りから」という言葉が今も息づいています。元日の朝、赤城山の裾野から昇る初日の出を拝んだ後、霊園に向かうご家族の姿を見ると、「ああ、新しい年が始まったんだな」と感じます。
この記事では、新年のお墓参りの意味や心構え、そして群馬の厳しい冬ならではの点検ポイントをお伝えします。形式や作法にとらわれすぎず、ご先祖さまを思う気持ちを大切にする――そんなお手伝いができれば幸いです。
新年の墓参り、その意味と地域の考え方
新しい年の始まりに、ご先祖さまへ感謝を
お正月のお墓参りは、旧年中の感謝と新しい年の安寧を祈るための行いです。一年間、家族を見守ってくださったご先祖さまに報告と感謝を伝え、新しい年も変わらぬ御加護をお願いする――この心の動きが、新年の墓参りの本質ではないかと、私は思います。
群馬県北中西毛地域では、三が日や松の内(1月7日頃まで)に参拝するご家庭が多く見られます。特に高崎市や前橋市では、元日の初詣の後にお墓参りを済ませる方も少なくありません。
先日、元日の朝に前橋市の霊園で点検作業をしていたら、お孫さんを連れたご家族がお参りに来られました。「ひいおじいちゃん、新年あけましておめでとうございます」と小さな手を合わせる姿を見て、こういう光景が続いていくことが、本当に大切なんだなと感じました。
「正月の墓参りは避けるべき」という話について
「神様を迎える時期だから墓参りは控えるべき」という考え方も、確かに一部に存在します。これは、神道の考えで「死」を穢れと捉える思想に由来するもので、正月に仏事を避けるという習慣です。
しかし、仏教では死を穢れとは考えず、むしろご先祖さまを敬う行為を重視します。そのため、宗派や地域の考え方によって判断が分かれるのが実情なんです。
石材店として多くのご家庭を見てきた経験から言えば、気持ちを込めて手を合わせることに勝る御供養はありません。形式よりも、ご先祖さまを思う心が何より大切だと、私は思います。気になる場合は、菩提寺や霊園に確認するのもよいでしょう。
新年のお墓参り――準備と心構え
いつお参りするのがよいか
新年の墓参りに「絶対にこの日」という決まりはありません。ご家族の都合と、何より安全に参拝できる状態かどうかで判断してください。
一般的には、こんな時期が選ばれています。
- 元日:初詣の後にお墓参りをする方が多いです(逆のパターンもあります)
- 三が日(1月1日〜3日):年始の挨拶としての墓参り
- 松の内(1月7日頃まで):正月飾りのある期間内
- 1月中旬以降:お正月の慌ただしさが落ち着いてからゆっくりと
大切なのは、無理をしないことです。寒い時期に体調を崩してまでお参りする必要はありませんし、暖かくなってからでもご先祖さまは理解してくださるはずです。
冬場の墓参りで準備すべきこと
年の初めにお墓へ足を運ぶ際、群馬の冬は想像以上に厳しいです。高崎市や安中市、榛東村などでは冷え込みが本当に厳しく、凍結や転倒のリスクもあります。
準備していただきたいものは、こんな感じです。
- 防寒着と滑りにくい靴:霊園内は雪が残っていたり、凍結していたりすることもあります
- 新しい供花:冬場は菊などの日持ちする花がおすすめです
- 線香とライター:風が強いこともあるため、風防付きライターが便利です
- お掃除セット:簡単な清掃をする場合に
- 温かい飲み物:長時間の作業になる場合の体調管理用
北風が吹く日は、立っているだけで体が冷えてきます。暖かい格好で、そして無理のない範囲でお参りしてください。
供花と供物の選び方
新年の墓参りでは、明るい色の花を選ぶ方が多いようです。白や黄色の菊、洋花ではガーベラやカーネーションなど、寒さに強く日持ちする花がおすすめです。
供物については、故人が好きだったものをお供えするのが基本です。ただし、冬場でも鳥や動物が荒らすこともあるため、お参り後は持ち帰ってご先祖様と一緒にというお気持ちで口にすることをおすすめします。
お線香の香りが冬の冷たい空気の中に広がる瞬間、いつも心が静まるような気がします。その香りの中で手を合わせる時間が、ご先祖さまとの対話なんだと思います。
新年の墓参り前に確認したい点検ポイント
年始のお墓参りは、お墓の状態を確認する良い機会でもあります。年末にお墓を清掃した後、冬の厳しさがお墓にどんな影響を与えているか、こんな点をチェックしてみてください。
1. 花立や香炉のひび割れ
冬の冷気で花立に残った水が凍り、膨張してひびが入ることがあります。特に金属製ではない花立は経年劣化もしやすく、年明けの点検が大切です。
また、温度の低い石の香炉に大量の線香を手向けて炎が上がるほどになると、急激な温度差で香炉が割れたりヒビが入ることがあります。線香は適量を守り、炎が大きくなり過ぎないよう注意してください。
以前、「正月に線香をたくさん供えたら、香炉が割れてしまった」というご相談を受けたことがあります。お気持ちはよくわかるのですが、実は石は温度変化に弱いんです。適量で、ゆっくりと燃やしていただければと思います。
2. 目地や接着部分の剥がれ
石と石の継ぎ目に使われる目地材は、寒暖差で収縮を繰り返し、剥がれることがあります。石塔の構成を理解していると、どこを確認すべきか分かりやすくなります。
小さな隙間でも放置すると内部に水が入り、後々大きな破損につながります。指で軽く押してみて、ぐらつきや隙間がないか確認しましょう。
3. 墓石の傾きやズレ
冬の凍結と融解を繰り返すことで、地盤が微妙に動き、墓石が傾くことがあります。離れた位置から墓石全体を眺めて、明らかな傾きがないか確認してください。
榛東村の山沿いの墓地では、凍結の影響で春先に墓石がズレていたことがありました。冬の間の小さな変化が、積み重なって大きな問題になることもあるんです。
4. 文字彫刻部分の汚れや色あせ
風雨にさらされる墓石は、文字彫刻部分の汚れや色落ちが起きやすい箇所です。戒名の追加彫刻や文字の色入れ直しは、年明けの点検時に見直す良い機会です。
前橋市や吉岡町では、戒名彫刻の追加を年明けに依頼される方もいらっしゃいます。「新しい年に、きちんとした形で」という想いがあるんでしょうね。
5. 積雪や凍結の状態
県内の標高の高い地域では、正月期間中も雪が残っていることがあります。無理に雪をかき分けてお参りすると、墓石を傷つけたり、転倒の危険もあります。
安全第一で判断してください。ご先祖さまは、あなたの安全を何より願っているはずですから。
安全で心のこもった参拝のために――現場からのアドバイス
無理をしないでください
冬場の屋外作業は想像以上に体力を消耗します。特に高齢の方は、寒さで血圧が上昇したり、足元が凍結していて滑りやすかったりするため、本当に無理は禁物です。
「新年だから必ず行かなければ」と考える必要はありません。暖かくなってからゆっくりお参りすることも、ご先祖さまは理解してくださるはずです。
先日、80代のお客様から「元日に転びそうになって、本当に怖かった」という話を聞きました。お気持ちは本当によくわかりますが、怪我をされては元も子もありません。家族と一緒に行くか、暖かい日を選んでお参りしてください。
短時間でも心を込めて
寒い時期の墓参りは、必ずしも長時間滞在する必要はありません。短い時間でも、心を込めて手を合わせることが大切です。
ご先祖さまへの感謝と、新しい年の決意を静かに伝える。それだけで十分なんです。形式や時間の長さよりも、その瞬間の心のこもり方が大切だと、私は思います。
異常を見つけたら早めに相談を
墓参り時に墓石の異常を見つけた場合は、写真を撮って私たちのような石材店に相談することをおすすめします。小さな傷みでも、春先の暖かくなる前に対処しておくことで、大きな修理を避けられることがあります。
私たち長沼石材店では、年明け4日から通常営業を行っており、墓石の修理やリフォームのご相談も随時承っております。「これくらい大丈夫かな」と思っても、一度ご相談いただければと思います。
家族で心を一つに
石材店として現場で多くのご家族を見て感じるのは、「お墓を守る人がいる家は心の軸がしっかりしている」ということです。
お墓の点検や修繕を通してご先祖さまと向き合う時間を持つことは、現代社会で心を整える貴重なひとときでもあります。新年の墓参りは、家族が一緒にご先祖さまと向き合う良い機会です。
子どもたちにとっても、命のつながりを学ぶ大切な時間となります。「おじいちゃんはね、こういう人だったんだよ。おばあちゃんはあのとき、こんなことをしてくれたんだよ。」と語り継ぐことが、家族の絆を強くするんだと思います。
よくいただくご質問にお答えします
Q1. 元日にお墓参りをしても問題ありませんか?
はい、問題ありません。地域や宗派によって考え方は異なりますが、ご先祖さまへの感謝を伝えることに悪いことはありません。
気になる場合は、菩提寺や霊園に確認するとよいでしょう。でも、多くの場合は「お気持ちが大切です」と言われると思います。
Q2. 雪が積もっている場合、お墓参りは避けるべきですか?
無理に雪をかき分けてお参りする必要はありません。安全第一で判断してください。
雪が解けてから、落ち着いてお参りすることをおすすめします。ご先祖さまは、あなたの安全を何より願っているはずです。転んで怪我をされたら、それこそご先祖さまが心配されますから。
Q3. 新年の墓参りで特別な作法はありますか?
特別な作法はありません。通常の墓参りと同じように、お墓を清掃し、供花を供え、線香を焚いて手を合わせるだけで十分です。
大切なのは、ご先祖さまを思う気持ちです。形式にとらわれすぎず、心を込めてお参りしてください。
Q4. 正月三が日は霊園が閉まっていることはありますか?
公営霊園の多くは年中無休で開放されていますが、管理事務所は休業していることがあります。民営霊園や寺院墓地は、それぞれ異なりますので、事前に確認することをおすすめします。
高崎市や前橋市の主要な霊園は、基本的に年中開放されていますので、お参り自体はいつでもできることが多いです。
Q5. 新年の墓参り後に、墓石の修理を依頼できますか?
はい、もちろんです。私たち長沼石材店では、年明け4日から通常営業しており、墓石の点検や修理のご相談を承っております。
写真をお送りいただければ、おおよその状態確認も可能です。お気軽にご相談ください。「新しい年だからこそ、お墓もきちんとしたい」というお気持ち、よくわかります。
まとめ――新しい年も、ご先祖さまと共に
新年のお墓参りは、ご先祖さまへの感謝を伝えると同時に、家族の絆を深める大切な習慣です。形式や作法にとらわれすぎず、ご先祖さまを思う気持ちを大切にすることが何より大切だと、私は思います。
冬場の墓参りでは、寒さや凍結への備えと、墓石の状態確認を忘れずに行いましょう。小さな異常でも早めに発見することで、お墓を長く良い状態に保つことができます。
私たち長沼石材店は、高崎市金古町で昭和5年から営業を続け、高崎市・前橋市・榛東村・吉岡町・渋川市・安中市・富岡市など群馬県北中西毛地域で、長年にわたり地域の皆さまのお墓を守ってきました。新年の墓石点検から、追加彫刻、修理、リフォームまで、幅広いご相談を承っております。
新しい年を清らかな気持ちで迎え、ご先祖さまと共に歩む一年にしていただければ幸いです。お墓のことで少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
元日の朝、冷たい空気の中で墓石に手を合わせるご家族の姿を見るたび、「この習慣が続いていくといいな」と心から思います。それが、私たち石材店の願いでもあるんです。
高崎・前橋エリアのお墓のことは長沼石材店へ
創業百余年、地域に根ざした石材店として、お客様の心に寄り添う施工を心がけております。
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