燈籠が倒れる、苔が増える、目地が黒ずむ|秋の台風とお墓の関係を職人が語る

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群馬県高崎市金古町で石材店を営んでおります、長沼石材店の五代目、長沼功一です。榛名山からの風が少しずつ湿り気を帯び、秋雨前線のニュースが増えてくるこの時期になると、私たちのところには決まって同じようなご相談が集中します。

  • この記事でわかること:台風と秋雨前線がお墓に与える影響
  • ご自宅から確認できる3つのチェックポイント
  • 放置した場合と、早めに相談した場合の違い

よくあるご相談

実は最近、こんなお悩みをよく伺います。「台風の後にお墓参りに行ったら、燈籠が倒れていた」「外柵の足元に苔がびっしり生えていて、なんだか不衛生に見える」「墓石の目地が黒ずんでいて、ひび割れなのか汚れなのか判断がつかない」——こうしたご連絡は、決まって台風が続いた翌週や、お彼岸の準備で久しぶりにお墓へ足を運ばれたタイミングで集中します。連絡をくださる方の多くは「これくらいで石材店に相談していいのか」と迷いながら電話をかけてこられるのですが、私たちからすれば、迷わず一報いただきたいご相談ばかりです。その不安、よくわかります。私も現場でお客さんとお話ししていると、皆さん同じところで立ち止まられるんですよ。

なぜ起きるのか

群馬県、特に高崎市から前橋市、吉岡町、榛東村にかけての一帯は、赤城おろしと呼ばれる強い北風が吹き下ろす地域です。夏の終わりから秋にかけて台風が接近し、そこに秋雨前線が重なると、強い風と長雨がセットでお墓を襲うことになります。燈籠を置く意味にも以前触れましたが、燈籠は構造上パーツを積み重ねているだけの部分が多く、経年で据え付けが緩んでいると、この突風で簡単に転倒してしまいます。さらに厄介なのが、長雨による水はけの悪化です。高崎から渋川、安中にかけては粘土質の地盤が多く、雨水が地中にすっと抜けにくい。外柵の足元や墓石の陰に水が溜まったままの状態が続くと、そこから苔がじわじわと広がっていきます。苔そのものは急いで悪さをするものではないのですが、放っておくと目地の隙間に根を張り、石材を内側から傷める原因になることもあるんです。

灯篭の転倒

赤城おろしの通り道では、燈籠がこのように転倒してしまうことがあります

私の失敗談から

正直な話をひとつさせてください。修業を始めて数年目の頃、あるお客様のお宅で燈籠の点検を任されたことがありました。見た目にはまったく問題なく、私も「これは大丈夫だろう」と判断して報告を上げたんです。ところがその年の台風で、その燈籠は根元からぽっきりと倒れてしまいました。翌日、幸い誰も怪我はなかったのですが、お墓参りに来られたご家族が倒れた燈籠を見て青ざめていたという話を後から聞いて、胸が締め付けられる思いをしたのを今でも覚えています。父に叱られながら学んだのは、「見た目が綺麗でも、中は分からない」ということでした。それ以来、私は現場に伺うと必ず石を軽く叩いて音を確認するようにしています。しっかり固定されている石は澄んだ高い音がしますが、内部が緩んでいたり根元にひびが入っていたりすると、鈍く低い音に変わるんですよ。この違いを聞き分けられるようになるまでには、正直かなりの年数がかかりました。

音の違いで内部の緩みを確認する、据え付け点検の様子

音の違いで内部の緩みを確認する、据え付け点検の様子

ご自宅からできること・プロにお任せいただきたいこと

ここから先は、難しい専門用語をなるべく使わずにお話しします。たとえるなら、お墓の点検は「傘の骨が折れていないか、開く前に確認する」のとよく似ています。表面のほこりや落ち葉、線香やお供え物の跡といった汚れは、お墓の掃除の仕方でご紹介している方法で、やわらかい布と水を使えばご自身で十分きれいにできます。苔についても、生え始めの薄い段階であれば、優しくブラシでこする程度で対応可能です。一方で、燈籠や外柵が数センチでも傾いている、お墓の部品の継ぎ目に黒っぽいひび割れのような線が見える、苔が分厚く盛り上がっている——といった場合は、見た目以上に内部の据え付けや水はけそのものに問題があることが少なくありません。まずはスマートフォンで気になる箇所のお写真を数枚撮って送っていただければ、この段階で修繕が必要かどうか、私たちの方である程度判断できます。

判断の目安

気づいたサイン 目安 対応の方向性
燈籠・外柵を軽く押すとぐらつく 据え付けの緩みの可能性 写真を送って早めにご相談ください
目地に黒ずんだ隙間やひびがある 基礎のズレの可能性 現地確認をおすすめします
苔が薄く生え始めている 水はけがやや悪い状態 ご自身でのお手入れで様子見も可
苔が分厚く盛り上がっている 水はけの根本的な問題の可能性 排水経路を含めたご相談を

放置するとどうなるか

これまで何年も放置されて、根元がほぼ土に埋もれかけていた外柵を見たときは、何度経験しても胸が痛みます。小さな傾きや目地のひび割れは、次の台風、その次の台風と少しずつ進行し、最初なら数万円で済んだ据え直しが、数年後には基礎から作り直す大掛かりな工事になってしまうことも珍しくありません。苔についても同じで、隙間に根を張ってから取り除こうとすると、石材の表面ごと傷めてしまうケースを何度も見てきました。石塔の構成を踏まえたうえで、据え直しの際には次の台風でも動きにくい据え付け方に見直すことを、私はいつも心がけています。今すぐでなくても大丈夫です。ですが、上の表に当てはまる状態が半年以上続いているようなら、一度ご相談ください。

早期の据え直しであれば負担は最小限に抑えられます

早期の据え直しであれば負担は最小限に抑えられます

「これくらいで連絡していいのか」と迷われたら、まずはお写真を一枚。それだけで結構です。

まとめ

台風と秋雨前線が重なるこの時期は、お墓にとっても一年の中で負担が大きい季節です。お彼岸でお墓参りに行かれる際は、手を合わせるだけでなく、燈籠や外柵の足元にも少しだけ目を向けていただければと思います。何か気になる点があれば、私たち長沼石材店が、現場での経験をもとに正直な判断をお伝えします。

高崎・前橋エリアのお墓のことは長沼石材店へ

創業百余年、地域に根ざした石材店として、お客様の心に寄り添う施工を心がけております。
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