こんにちは。高崎市金古町、長沼石材店5代目の長沼功一です。
4月に入って、赤城おろしがようやく落ち着いてきましたね。先週、榛名山の方へ仕事で向かったんですが、山の麓に残っていた残雪がほとんど消えていて、「あ、春だな」とほっとしました。この季節になると、お彼岸を機にお墓参りへ行かれた方から「ちょっと気になることがあったんだけど……」とご連絡をいただくことが一気に増えるんです。
先日も、高崎市内のお客様から、こんなお声をいただきました。
「七七日忌(四十九日)の法要に合わせてお墓に名前を彫ろうと思ったら、古い墓誌がもういっぱいで書く場所がないんだよ。これ、どうすればいいんだろう?」
これ、昭和から平成にかけて建てられたお墓では、本当によくあるご相談なんです。「法要が近いのに、どうしよう」と焦っておられる方も多くて、私も現場で何十件とこの問題に向き合ってきました。今回は、そんな「墓誌(過去碑)がいっぱいになってしまった」ときの解決策を、選択肢ごとにできるだけ丁寧にお話しさせていただきます。
なぜ、墓誌はいっぱいになってしまうのか
高崎や前橋、榛東村、吉岡町あたりの関東北部では、亡くなった方の戒名・俗名・没年月日を「墓誌(過去碑)」という板状の石に刻む習慣が広く根付いています。家のお墓の隣に、歴代のご先祖様の記録が並んでいる、あの石板です。いわば家族の歴史書、といえるかもしれませんね。
ただ、30年・40年と経つと当然、彫れる面積が埋まっていきます。昔の墓誌は今のものよりひとまわり小さめが主流だったので、10名から12名分ほどで満杯になることが多いんです。現場で石に定規を当てながら「ここにあと何人入るかな」と確認する作業は、私が石屋になって以来ずっと続けていることのひとつですが、そのたびに「先代から積み重なってきた時間の重さ」を感じます。
記録がそこで途切れてしまうのは、ご先祖様を大切に思うご家族にとって、やはり寂しいことですよね。
現場でよく選ばれている4つの解決策
墓誌がいっぱいになったとき、選択肢は一つではありません。私が現場でお施主様のご状況に合わせてご提案している方法を、順番にご説明します。
① 空きスペースを見極めて「追加彫り」する
「もうどこにも空きがない」と思っていても、石屋の目で見ると、上下の余白や左右の配置バランスを調整することで、あと1名〜2名分なら綺麗に収まるケースがあるんですよ。文字の大きさを既存の彫刻と揃えながら、ミリ単位でレイアウトを計算して彫っていきます。
ハンマードリルで石に穴を開けるとき、あの「ガリガリッ」という音と手への振動——慣れているはずなのに、先祖の名前が刻まれた石に刃を入れる瞬間は今でも少し緊張します。それだけ、真剣にやっているということなんですが。
まずは現場に伺って、実際に墓誌の状態を確認させてください。「追加彫りできるかどうか」だけでも、見に行けばすぐわかりますので。石碑文字の追加彫刻については、こちらのページでも詳しくご説明していますので、あわせてご参照ください。
② 墓誌の「裏面」を活用する
表が埋まってしまったとき、板石そのものを裏返して裏側に彫り進めるという方法があります。高崎市内や吉岡町の寺院墓地でも見かけることのある手法で、新たに石を買い替えなくて済む分、費用を抑えられるのが大きなメリットです。
ただ、正直に申し上げると、裏面はお墓の構造上どうしても見えにくくなりがちです。「先祖の名前が見えにくい場所に行ってしまうのは……」と感じられるご家族も多く、そういった場合は次の「新設」を選ばれることが多いですね。
③ 墓誌を「新設(交換)」する
長い目で見たとき、もっとも選ばれているのがこの方法です。ひとまわり大きなサイズの墓誌に交換して、これまでのご先祖様の情報をすべて新しい石にまとめ直します。お子さんや孫さんの代になっても、安心して名前を刻み続けられる余裕が生まれます。
石の種類については、風雨への耐久性が高いみかげ石(御影石)を選ばれる方が最近は特に多いですね。石の性質の違いについては以前のブログ記事でも書いたのですが、産地や品質によって経年変化がかなり違ってくるんです。墓石に使う石材の選び方については、こちらの記事で本音で解説していますので、気になる方はぜひ。費用感についてはお墓の値段・費用のページも参考にしてみてください。
④ 「2枚目」の墓誌を横に増設する
「今の墓誌に愛着があるから残したい」という場合は、既存の墓誌をそのままに、隣に新しくもう1基並べて建てることもできます。墓地の区画に余裕があれば、歴史が続いていく重みが感じられて、とても味のある佇まいになります。
ただ、墓地の管理規定によっては増設が難しい場合もありますので、まずは管理者(お寺さんや霊園の管理事務所)へのご確認が必要です。このあたりの調整も、地元の石材店として私たちがお手伝いできますので、遠慮なく声をかけてください。
父の仕事を見て学んだこと——石に残す、ということ
少し個人的な話をさせてください。
私の父——4代目——が現役だったころ、前橋市のあるお客様から「じいさんの名前が彫れなくて、ノートにメモしていたんだけど、やっぱり石に残してやりたい」というご相談がありました。私はまだ若くて、父の横でその一部始終を見ていたんです。
父が選んだのは、古い墓誌の表面を薄く削り磨き直す「再研磨」という方法でした。工場に石を持ち帰ってダイヤモンドのディスクで少しずつ表面を落としていくと、くすんでいた石が徐々に光を取り戻してくる。あの瞬間の輝きは、今でも覚えています。磨き直した面に、お施主様が何十年も大切に持っていたノートを見ながら、名前を一つひとつ彫り直していった。
完成したお墓を見て、「これでようやく、じいちゃんたちの名前がずっと残る。ありがとう」と涙ぐんでくださったとき、父は照れ臭そうにただ「よかったです」とだけ言っていました。私はその背中を見て、石屋という仕事の意味を、体で覚えたような気がしています。
石を売ることではなく、家族の絆を形にすること。それが私たちの仕事なんですよね。
「うちはどうすれば?」迷ったときの判断ポイント
選択肢が4つあると、逆に「どれにすればいいかわからない」となることもありますよね。参考までに、私が現場でお客様にお伝えしている判断の目安をお話しします。
| 方法 | こんな方に向いています | 注意点 |
|---|---|---|
| 追加彫り | あと1〜2名分の余白がある。費用を抑えたい。 | スペースがあるかは現場確認が必須 |
| 裏面活用 | 石はまだ状態が良い。費用を最小限にしたい。 | 見えにくい場所になる場合がある |
| 新設・交換 | 将来も長く使いたい。子や孫の代まで見据えたい。 | 石代がかかるが、長期的な安心感がある |
| 増設(2枚目) | 今の墓誌に愛着がある。区画に余裕がある。 | 管理規定の確認が必要 |
一つだけ、「やらない方がいい」とはっきり申し上げられることがあります。余白が本当にないのに、無理やり小さな文字で彫り込もうとすることです。文字が細かすぎると、高崎や前橋の冬の寒暖差と霜で、数十年後には風化して読めなくなってしまいます。後の世代が「これ、誰の名前だったんだろう」と困ることになる——それだけは避けていただきたいのです。
もし将来的にお墓全体のリフォームを考えているなら、そのタイミングで墓誌も一緒に新しくする方が効率的なこともあります。墓石リフォームの流れと費用については、以前の記事でまとめていますので、参考にしてみてください。また、長沼石材店の墓地改修施工例も、イメージを掴むのに役立つかと思います。
法要の前に確認しておくこと
七七日忌(四十九日)や一周忌など、法要のタイミングに合わせて追加彫りを依頼したいという方はとても多いです。ただ、石への彫刻には施工の段取りと乾燥・仕上げの時間が必要ですので、法要の少なくとも3〜4週間前にはご相談いただけると安心です。
「もう来週なんだけど……」というご連絡もときどきいただきますが、それでもできる限り対応するよう努めていますので、まずは気軽に電話やLINEで声をかけてください。「間に合うかどうか」だけでも、すぐにお答えできます。
高崎市・前橋市・渋川市・安中市・吉岡町・榛東村・吾妻郡など、高崎・前橋エリアの戒名彫刻・追加彫刻については、こちらのページもご覧ください。地域ごとの事情も把握していますので、ご相談いただければと思います。
まずは、現場を見せてください
墓誌は、その家が歩んできた道のりそのものです。いっぱいになったということは、それだけ多くの命が繋がり、今のご家族がある——その証でもあります。
高崎市金古町を拠点に、前橋、榛東、吉岡、安中、渋川……毎日この地域の墓地を走り回っています。「うちのお墓はどうかな」と少しでも気になったら、散歩がてら長沼石材店に寄ってみてください。お茶を飲みながら、ゆっくりお話ししましょう。現場の確認とお見積もりまでは無料で承っています。
「石の状態を見てから、じっくり考えたい」というスタンスで全然構いません。無理な営業は一切しませんので、どうぞ気軽に声をかけてみてください。
高崎・前橋エリアのお墓のことは長沼石材店へ
創業百余年、5代目の私が責任を持って対応させていただきます。
小さなお困りごとでも、まずはお話を聞かせてください。

