【石屋が正直に答えます】石塔が白く色褪せる3つの理由と、戻せる場合・戻せない場合

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5月に入ると、赤城おろしがやわらかくなって、代わりに南から湿り気を帯びた風が来るようになります。高崎の墓地はちょうどこの頃から日差しがぐっと強くなって、境内の石塔がまぶしいほど白く見える日があるんですね。

そしてこの時季、お電話やご来店でいただくご相談がひとつ増えます。「石塔が白っぽくなってきたんですが、元に戻りますか?」というものです。

今回は、その問いにできるだけ正直にお答えしようと思います。「直せます」とも「難しいです」とも、状況によって答えが違います。だからこそ、どういう状態のときにどうなるのかを、現場で見てきた経験をもとにお伝えしたいんです。

春の墓地の全景・石塔

春の墓地の全景・石塔

「日焼け」という言葉は、少し違うんです

お客様が「石が日焼けしちゃって」とおっしゃるとき、その感覚はよくわかります。白っぽくなる、色が薄くなる、なんとなくくすんで見える。確かに夏に向かって日差しが強くなる時季に気づくことが多いので、「日焼け」という言葉は直感的ですよね。

ただ、石材の世界では少し仕組みが違います。人の肌は紫外線のダメージでメラニンが増えて黒くなったり、反対に色素が抜けて白くなったりしますが、御影石のような天然石は、紫外線だけで色が変わることはほとんどありません。

では何が起きているのか。私がこれまで現場で見てきた経験から言うと、大きく3つに分かれます。

① 表面がほんのわずかに荒れてきている(微細な風化)

御影石は非常に硬い石ですが、何十年も雨風に当たり続けると、表面がほんの少しずつ粗くなってきます。新しいときは鏡のようにすべすべしていた面が、細かな凹凸を持ち始める。すると光の反射のしかたが変わって、全体的に白っぽくくすんで見えるようになるんです。

これは「石が傷んでいる」というより「時間をかけてゆっくり変化している」という表現の方が正確です。良い石とは何かというページでも書いたのですが、質のいい石は、長い時間をかけてそれなりに品よく変化していきます。

そもそも御影石(花崗岩)は地下の深いところでマグマがゆっくり冷えて固まったもので、世界最古の岩石になると40億年近い歴史を持ちます。数億年単位で存在してきた石が、100年単位で変化するのはごく自然なことなんですね。その意味で、色褪せは「石の老い」ではなく「石の時間」だと私は思っています。

② 磨きの艶が少しずつ減ってきている

お参りのたびに布で拭いたり、柄杓でお水をかけたりしますよね。それ自体はまったく問題ありません。ただ、長年続くと鏡面仕上げの艶が少しずつ摩耗してきます。特に手がよく触れる竿石の正面や天端(上面)は、くすんで見えやすいです。

タオルで優しく拭いているだけでも、毎年毎年積み重なれば表面は変化します。これは決して粗末にしているわけじゃなくて、丁寧にお参りしてきた証でもあるんですよね。

③ 水の乾き跡や砂埃が積み重なっている(これが一番多い)

正直、この原因が一番多いです。高崎や前橋は風が強い日が多くて、砂埃が石の表面に細かく付いては乾く、を繰り返します。柄杓でお水をかけたあとの乾き跡も、角度によっては白い膜のように見えます。

この場合は、石そのものは傷んでいません。見た目が気になるだけです。だから適切なクリーニングで、驚くほどきれいになることが多いんですよ。


砂埃と水の乾き跡が白く浮いた石塔の表面

↑ こういった白い跡の多くは、クリーニングで改善します

凍結が、見えないところでじわじわ効いています

「色が変わった気がする」というご相談のとき、私が必ず気にするのが、冬の凍結ダメージです。

群馬の冬は寒さが厳しい。石の表面や目地に入り込んだ水分が凍って膨張し、春に溶けて、また凍って。この繰り返しが長年続くと、石の表面がうっすら剥離したり、目地のモルタルが崩れてきたりします。

そしてここからが現場でよく遭遇するパターンなのですが、「色が変わった気がしてよく見たら、竿石がわずかに傾いていた」というケースが少なくないんです。地震の影響だと思われることも多いのですが、実は凍結の繰り返しによる基礎へのじわじわとしたダメージが原因であることも多い。

色褪せの点検をしていて傾きに気づく、というのは私の現場ではよくあることです。お墓の傾きや地震対策については、群馬でお墓の地震対策!「倒れてから」では遅い理由とプロの耐震・免震技術にまとめましたので、合わせて読んでいただけると安心です。

正直に言います。「元の色」に戻せる場合と、戻せない場合があります

これが一番知りたいところだと思いますので、率直にお伝えします。

汚れ・乾き跡が原因 → クリーニングで改善できます

以前、榛東村のお客様からこんなご連絡をいただいたことがありました。「10年以上お参りしてきたけど、こんなに白かったかな?」と。伺って拝見すると、石自体はしっかりしていて、石目もきれいなまま。原因は表面の汚れの積み重ねでした。

クリーニングをさせていただいたら、建てた当初の色合いに近い状態に戻りました。お客様が「あら、こんな色だったんですね」と驚いていた表情を今でも覚えています。ご主人が建てたお墓で、色が戻ったことを喜んでいただけたのが嬉しかったです。

汚れが原因なら、きれいになります。お墓のクリーニングについての詳しい記事も書きましたので、参考にしていただければと思います。

艶が摩耗している場合 → 再研磨という選択肢があります

表面の鏡面加工が摩耗している場合は、再研磨で艶を取り戻すことができます。石の表面をほんの少し削って、新しい面を出す作業です。ハンドグラインダーをあてたとき、削った粉がふわっと舞って、下から白い光沢が出てくる瞬間があるんですが、あれは毎回「石って生きてるな」と感じる瞬間です。

ただ、費用も手間もかかりますし、石の厚みを少し消費します。普段のお手入れとして気軽にやるものではなくて、建て替えや大きな修繕のタイミングで検討するものです。昭和のお墓を磨き直す「再研磨」という選択肢の記事に詳しく書きましたので、検討されている方はぜひご覧ください。

石そのものが風化している場合 → 完全には戻りません

正直に言います。長年の雨風で石の内部まで風化が進んでいる場合、完全に元の状態に戻すのは難しいです。表面を研磨しても、また同じように変化していきます。

ただ、「だから何もできない」ということではありません。現状を見て、どこまで改善できるか、何をするのが今一番合理的かを一緒に考えることはできます。「今は現状維持で、次の節目に考えましょう」という判断になることもよくあります。

それは現場を見ないと判断できないことがほとんどなので、「気になってきた」と思ったら、まず見せていただくのが一番です。


クリーニング前後の石塔の比較

↑ 同じ石塔です。汚れが原因なら、ここまで変わることがあります

地域によって、変化の見え方が違います

同じ群馬でも、石塔の変化の仕方は場所によってかなり違います。

高崎市・前橋市あたりは日照が強くて風も乾燥しています。砂埃が乾いた白い跡が目立ちやすい。特に八幡霊園や観音霊園など、開けた区画は風が通りやすい分、汚れの付き方が独特です。

一方、榛東村・吉岡町・渋川市など、榛名山の裾野に近いエリアは湿気が多くて、苔や藻が生えやすい環境です。黒い石でも薄い苔が広がると、色ムラができたように見えることがあります。前橋市の嶺公園周辺は水はけが比較的いい一方、山沿いの個人墓地では地下からの湿気が目地に入り込んで、想定より早く傷むケースも見てきました。

「白くなった」という状態でも、原因は現地を見ないと判断しにくいことが正直なところです。墓地の周囲環境もあわせて確認することで、適切な対処法が変わってきます。草の管理状態も関係します。防草工事や管理のしやすさについての記事も書きましたので、合わせて読んでいただけると、長く気持ちよくお参りするためのヒントになると思います。

こんな状態のときは、早めにご相談ください

「経年変化だから仕方ない」という部分はあります。ただ、早めに対処した方がいい状態というのも確かにあります。

  • 白っぽい箇所が年々広がっている
  • 拭いても取れないくすみや変色がある
  • 石と石の継ぎ目(目地)が崩れてきている
  • 石塔が少し傾いている、ズレているように感じる
  • 建立から30年以上経過している

傾きやズレは放置すると倒壊につながることがあります。地震・凍結・経年劣化でお墓が傾く原因と点検の仕方にまとめましたので、少しでも気になった方はご確認ください。

春のお彼岸やお盆のお墓参りのタイミングが点検のいい機会です。お墓参りの心得と点検ポイントも参考にしていただければと思います。

石職人が石塔を丁寧に点検している様子

石職人が石塔を丁寧に点検している様子

自分で洗うときに気をつけてほしいこと

「自分で掃除したい」という方に、ひとつだけお願いがあります。タワシや硬いブラシで力を入れてこするのはやめてください。

石の表面は思っているより繊細です。硬いもので強くこすると細かな傷がついて、かえって汚れが入り込みやすくなります。傷の隙間に水が入り込んで、凍結ダメージも受けやすくなる。市販の強力な洗剤も、石材には向かないものが多いです。酸性の洗剤は石を溶かすことがあります。

基本は柔らかいスポンジと水で、優しく洗うのが一番です。お墓の掃除の仕方についてもページにまとめていますので、参考にしてみてください。

石材店として、正直にお伝えしたいこと

これは少し個人的な話になるのですが、父の仕事を横で見ていた頃、こんなことがありました。お客様が「他の業者に再研磨を勧められた」と相談に来られたんです。父が石塔を見ると、汚れが原因でクリーニングで十分きれいになる状態でした。父は「これは磨かなくていい」とはっきり伝えていました。

その姿を見ていて、「必要のない工事を勧めない」ということが石材店の誠実さだと学びました。私自身も、現場で「これは再研磨しなくて大丈夫ですよ」とお伝えすることは少なくありません。

「黒い石の方が変色が目立たない」「白い石は汚れが分かりやすい」という話も聞きますが、どちらも経年変化はします。大切なのは定期的に見ること、気になったら早めに相談することだと思います。黒い石塔と白い石塔の違いについてもまとめていますので、石の色選びで迷っている方はあわせてどうぞ。

良い石は何十年経っても、それなりに品よく変化していきます。石材の選び方について本音で書いた記事もありますので、もしよければご覧ください。

最後に

石塔の色褪せや白っぽい変化には、必ず理由があります。汚れの積み重ねが原因なら、きれいになります。石そのものの変化なら、完全に元通りとはいきませんが、改善できることは多くあります。

判断に迷ったら、まず現場を見ることが一番です。見ればだいたいわかります。「ちょっと気になってて」くらいの感覚でご連絡いただければ、現地に伺ってお話しします。大げさに考えなくていいです。

高崎市・前橋市・榛東村・吉岡町・安中市・富岡市・渋川市・吾妻郡・桐生市など、群馬県内広くお伺いしています。

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